封印していた思い出でしたが、これも何かのご縁です。
思い出を振り返り書かせて頂きます。
皆さんはヨットってどんな思いを持ってますか。
「優雅」「お酒を飲みながらクルージング」、お金が掛かる遊び。・・・・・etc。
私は20代からヨットレースのチームに参加させて頂いてました。
下の写真は「KAJI(舵)」と言う雑誌の1990年12月号の記事です。
これが始めて乗ったレースボートのトラブル状況。よくまあ綺麗に写真を撮ったものだと関心してます。
一般的には「ブローチング」と言います。正確にはワイルドジャイブしてブローチング。
波も少なく見えて何をやっているの?って感じでしょうね。
でも、この日は20m以上の強風で風が強すぎて波が消えるという最悪の状況なのです。
それも、JapanCupという今でも続く国内最上位のレース。
レースを止めるかどうかの判断はオーナーに委ねるのがクルーとしての決まりです。
皆さんだったら、こんなヨットに乗りますか?
私はこのレースが大型艇に乗った初めての経験であり、大型艇も横倒しするんだな~程度にしか思ってませんでしたが、結構大変な状況のようでした。でも一流のメンバーだったので何も心配はしてませんでした。
ヨットって本当はこんな世界なんです。
金曜日の夜に合宿所に行き、皆と夜中まで酒を飲み、土日は朝から終日レース。
一言で振り返ると、「楽しかった。」「オーナー、クルーのメンバー各位、本当にありがとうございます」だけです。
皆、それなりの仕事の地位を持っていても、同じ目標に向かって協力しあい、それこそ、朝晩の飯から、トイレまで一緒。(ちなみに、昔のレースボートにはトイレがありません。小はいいとして、大はどうするかと言うと、バケツに跨り用を足す。ケツの穴まで分かり合った汚い仲です。)
振り返ると同じメンバーで10年一緒。転勤などで一時離れましたが、何だかんだで20年来のお付き合いです。
何度も、大型レースで優勝をさせて頂き、何度も旨い酒を頂きました。そんなチャンスは本当に滅多にありません。
これが、私のヨット乞食人生です。
ヨット関係者であればヨット乞食という言葉はお馴染みですが、ヨットは臭い、汚い、辛いです。
そしてそんな環境でも美酒を求め皆勝つためにオーナーと一心になって着いていく。(よく言えばですが、悪く言えばタカリですね。)
ちなみに、海に漬かりそうになっている半ズボンの彼は今では某有名ハーバーのハーバーマスターをしている有名な方です。
そして時代も変わり、今は別のオーナーの下でお世話になっています。
オーナーの許可を得てないので、あまり具体的には書けないのですが、この艇のルーツは特別なんです。
ハワイで開かれていたKENWOOD CUPってご存知でしょうか。
世界的に有名な国際外洋レースなんですが、日本人が設計した艇で初めて優勝した艇の末裔なんです。これってとてつもなく凄い事なんです。
艇にはそれぞれ歴史があります。
クルーもその歴史を一緒に作っていくのですが、良く言われる言葉として「どんなに金があるオーナーで艇に金を掛け、人を集めたとしても、クルーが育たなければ艇は走らない」と。
艇は日に日に性能が向上しています。最新鋭の艇を買えば暫くはボートメーカーやセイルメーカーがクルーを派遣し、他の艇へのインパクトを強めようと協力してくれます。しかし暫くすると、自前でクルーが必要になってきます。クルーが育たないと艇の性能は引き出せない。オーナーに着いていこうという覚悟を持てるだけの器をオーナーが持っていないとクルーは離れていきます。だから名艇と言われる艇は団結力が強いんです。
何か、会社の縮図を見ているようですね。
金と人望。
いろんな最新の艇を見てきましたが、この2つの器を持っているオーナーは限られているように思います。
人望と名誉に着いて行く。だから、ヨット乞食は辞められません。
ヨットの世界も人不足です。有志ある方はご連絡ください。
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