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2015年4月22日水曜日

グレードダウンビジネス。あえて終わらせないビジネス

ビジネスの流れはより良いクオリテイの製品、サービスを提供すると言うのが本流かと思っている。しかし、長年あえてサービスの品質を落として満足を得るビジネスに携わってきた。
印刷業では本刷の前に必ずクライアントに校正確認をする。
確認事項はレイアウト、写真、文字、色など、多岐に渡る。
特に色に関しては色校正と呼ばれコーポレートカラーのチェック、濁り、彩度、網点からのモアレなど多くの項目がある。
さて、印刷業界ではこのチェックの為に、何億もする印刷機を使用してチェック用サンプルを制作はしません。何故なら、高速機の印刷機であれば、一秒に60枚も新聞サイズ(毎葉といいます。)が刷れる機材を使う事は大きな損失だから。ではどうするかと言うと、大判のインクジェットプリンタで出力する。当然、家庭用のプリンタではないけど、特別なプリンタでも無い。1台50-60万位のプリンタである。しかし、ただ単に市販プリンタで印刷と同等な出力ができるわけでは無い。
カラーマネジメント、網点シュミレーション、CMYKの4版に分解するセパレーションなどの処理ができるソフトウエアを経由させ出力する。
さて、課題は印刷機の印刷品質とインクジェットプリンタの印刷品質の差による出力見本の出来であるが、当然、数億する印刷機の方が品質は高いと思うであろう。
実はインクジェットプリンタの方が画質は明らかに上で逆にどうやって印刷物の品質までクオリテイのグレードダウンをするかが課題となる。
そんな商売を20年程、やってきた。

さて、私は今、3DCGの仕事がしたくて起業した。
今までは、Photo品質を目指したく制作してきたが、ひょんなきっかけで品質をおとした方が良い事に気づいた。

建築設計との仕事で基本プランに参画した際、クライアントに夢を創造させる為には何も色、表面処理をしない方が顧客の発想、期待が高まる事を知った。建築はクレーム産業とも言われている。これは顧客の思いと設計を含めた業者の思いのGAPから出来上がったものに対して不満が出てしまうためであろう。それではなどうしたら良いのか。顧客に図面を理解してもらう事は当然必要であろう。しかし、その前にクライアントに自分の住まい作りに参画してもらう気持ちを持ってもらう事が一番大事かと思う。
大体が、納期優先(資金繰、生産性からも)でクライアントの思いまで本当に拾い上げる為の工数を掛けてないのが現実である。
今回、3日という短納期だったので何も、テキスチャーを付けないでプレゼンする事になったCGがクライアントに気にいられた。
単に制作会社として請け負えば、制作途中みたいな感じで納品、検収をあげてもらえないような段階だと思うが、私の立場は建築設計事務所のメンバーと一緒に動いているのでそれがどうにでもなる。独立系のCG事務所には出来ないビジネススタイルかも知れない。
顧客が考える前に一方的に色を付けてしまうとクライアントはさすがプロだなと頷くであろうが、お任せムードとなり一体感は薄らぐ。これが、真っ白な建物から一緒になって顧客の思いの色付けをしていくと不思議なものでクライアントも一緒になって参加してもらえる事を知った。これも顧客の視線に合わせたグレードダウンビジネスなのかもしれない。
時間の掛かる仕事の仕方であるが下請けには出来ない濃い仕事のスタイルが私は好きだ。

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